2012年12月01日
ガンは自然に治癒することはあるのか?
間 黒助です。
ガンは稀に治療を行わないにも関わらず、
自然に消失して治癒することがあります。
消失しないまでも、
ガンの成長が止まった例も数多く知られています。
メラノーマ(悪性黒色腫)は、
稀に自然治癒することが知られていますし、
乳幼児に多い神経芽腫という神経ガンは、
1歳以下で発症した患者さんの半数が自然に治癒すると報告されています。
これらのガンが自然治癒する仕組みは明らかになってはいませんが、
いくつかの理由が考えられています。
第1は、
自然治癒する患者さんに発熱の経験が多いことから、
高熱によって元々熱に弱いガン細胞が死滅したというものです。
第2は、
自分の体を守る免疫システムが原因とする見方です。
発熱は、
細菌やウイルスに感染したときに起こりやすいと言えます。
こうした病原体の感染などによって、
ガン患者の免疫が強力に働くようになり、
その結果、
病原体と共にガン細胞も駆逐されるというものです。
第3は、
主に上記の神経芽腫の自然治癒についてですが、
ガン細胞の内部で自ら死に導く何らかのシステムが発動するというものです。
日本人に非常に多い胃ガンにも興味深い事例があります。
これは厳密には自然治癒とは言えないものの、
胃に発生する悪性リンパ腫の一種である『※マルトリンパ腫』は、
自然治癒に近い経過を辿ることがあります。
※マルトとは粘膜とリンパ球の複合組織で、
この組織のリンパ球がガン化して発生する腫瘍をマルトリンパ腫と呼ぶ。
胃マルトリンパ腫の患者さんの90%以上は、
元々ピロリ菌に感染していて、
マルトリンパ腫発生の原因はピロリ菌と考えられています。
最近ではピロリ菌を除菌すると、
それだけで患者さんの70~90%が治癒することが分かっています。
一般に、
ガンが1度発生すると、
原因となった因子(発ガン物質や放射線など)を取り除いても、
ガンは勝手に成長します。
その意味でピロリ菌の除菌のみでリンパ腫が治るというのは奇妙で、
その仕組みはよく分かっていません。
これに対して、
同じくピロリ菌が主な原因の1つとされている一般的な胃ガン(胃の上皮ガン)は、
自然治癒しないと見られています。
最も胃ガンの多くは初期に極めて進行が遅く、
診断後3~5年経っても早期ガンのままである例も知られています。
診断後、
何の治療もせずに17年間存在した患者さんについての報告もあります。
なので進行の遅い胃ガンが発生すると、
免疫系が強く働くようになり、
それによってガンが消失するというのは有り得ることのようにも思えます。
しかし実際にそのようなことが起こり得るとしても、
ガンが発見された時点では、
自然治癒が起こるかどうかは予測できません。
また放置してガンが進行すれば治療はかなり困難になります。
ガンの進行とは、
ガン細胞の増殖によってガンが広がるだけではなく、
ガン細胞が転移や浸潤する能力を身に付けて、
悪性度を高めていくことも意味します。
ガンが自然に治癒する例は確かに存在しますが、
ガンを発症したときにそのような可能性に期待することは危険ということになります。
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間 黒助
Posted by ブラックジャックの孫 at 16:58
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