てぃーだブログ › ブラックジャックの孫 間 黒助 の ガン治療研究ブログ › ガン治療に関する Q & A › ウイルスや細菌に感染してガンになることはあるのか?

2012年11月27日

ウイルスや細菌に感染してガンになることはあるのか?



間 黒助です。




ガンは遺伝子の病気と言われていますが、

人間が年齢を重ねるにつれ、

体を作る細胞に刻み込まれた遺伝子は少しずつ傷ついていきます。

その結果、

細胞が分裂をコントロールできなくなり、

周囲を無視してひたすら増殖し始めることがあります。

これがガンの始まりです。


こう言うとガンはウイルスや細菌などの病原体の感染とは無関係のように思えます。


しかし、

一部のガンはこうした病原体の感染が原因で発症します(全てのガンの約20%程度)。


例えば、

血液のガンの一種である“成人T細胞白血病リンパ腫”は、

『ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-1)』

というウイルスに感染することが原因と考えられています。

このガンを発症すると、

急性の場合は半年以内に約50%の人が亡くなります。

発症は50歳代かそれ以上が普通ですが、

実際にウイルスに感染するのは乳児期と考えられています。

母親がウイルスに感染していると、

母乳を通じて子供もウイルスに感染するのです。

このウイルスは“レトロウイルス”と呼ばれる種類で、

人間に感染すると、

自分自身の遺伝情報を人間の遺伝子を作っているDNAの中に組み込んでしまいます。

そのため、

細胞が増殖すると共に、

ウイルスの遺伝情報を持つDNAも増えていきます。

ほとんどの感染者は、

ガンを発症せずに一生を終えますが、

中には感染者の体内に長い間潜伏していたウイルスの働きによって、

異常な血球が爆発的勢いで増殖を始めることがあります。

こうして白血病やリンパ腫が発症します。

増殖が暴走する原因は、

ウイルスが持つ『 tax 』と呼ばれる遺伝子ではないかと考えられていて、

この遺伝子は細胞を不死化したり、

細胞分裂を制御不能にすることが知られています。

しかしガン発症の仕組みは今のところよく分かっていません。

日本では120万人がこのウイルスに感染していると推測されていますが、

発症するのは感染者の5パーセント前後です。




成人T細胞白血病リンパ腫以外にも、

ウイルス感染が原因で発症するガンがあります。


例えば、

C型肝炎ウイルスやB型肝炎ウイルスに感染して肝炎になり、

その後、

肝硬変に進行すると、

非常に肝臓ガンが発症しやすくなります。




また、

『ヒトパピローマウイルス』は、

子宮頸ガンや咽頭ガン、皮膚ガンなどの原因であり、

『エプスタイン・バーウイルス』は、

悪性リンパ腫などの原因になると考えられています。

エイズを引き起こす『ヒト免疫不全ウイルス(HIV)』も、

そのたんぱく質によってカポジ肉腫というガンの発症を促すと見られています。


これらのウイルスはどれもガン遺伝子を持っているわけではなく、

人間の細胞に働きかけたり、

免疫を異常に活性化するなどして、

間接的にガンを引き起こすと考えられています。




ウイルスだけでなく、

細菌によって生じるガンもあります。


代表的なのは、

『ヘリコバクター・ピロリ菌』です。


日本人は胃ガンの発症率が欧米諸国よりかなり高いことが知られています。

かつてその原因は塩分の取り過ぎと言われていましたが、

それは発症の切っ掛けに過ぎず、

真の原因はピロリ菌だと考えられるようになりました。


1980年代、

胃の粘膜にピロリ菌という細菌が棲みついていることが明らかになり、

強い酸性環境でも生き延びるこの細菌は、

胃潰瘍や十二指腸潰瘍を引き起こす原因となっていたのです。

しかもピロリ菌が長時間にわたって胃に感染したままだと、

胃の粘膜が次第に萎縮して慢性胃炎になることも分かりました。

この状態が続くと、

胃の粘膜は性質が腸の粘膜に似ていきガンを発症してしまいます。

日本では衛生状態の悪かった時期に幼少期を過ごした中高齢に、

ピロリ菌の感染者が非常に多いことが知られています。

このことが日本人の胃ガン発症率の高さにつながっています。


感染症のガンは、

他の多くのガンとは違って、

感染経路を断ち切るなどすれば高い確率で予防することができます。


例えば昔、

C型肝炎は輸血によって感染するケースが非常に多かったものの、

1989年にC型肝炎ウイルスが同定されてからは、

輸血が原因で感染することはほとんどなくなりました。


また、

ほとんどの女性が一生に1度は感染すると言われるパピローマウイルスに対しては、

最近予防ワクチンが開発されました。


B型肝炎ウイルス用についても予防ワクチンが開発されています。


最近では、

ピロリ菌除菌治療を行うことによって、

胃ガンの発症を抑える取り組みも行われています。


日本では、

他の先進国と比べて、

胃ガンや肝臓ガン、

子宮頸ガンの発症が非常に高いことが知られています。


これらのガンは病原体を原因とするガンなので、

感染予防に十分な対策をとれば、

今後のガン発症率がかなり低下する可能性もあります。




ウイルスや細菌に感染してガンになることはあるのか?





同じカテゴリー(ガン治療に関する Q & A)の記事

Posted by ブラックジャックの孫 at 18:09 │ガン治療に関する Q & A