2012年11月28日
ガンの治療はどんな目的で行うのか?
間 黒助です。
ガン患者にとっての最適の治療を知っているのは、
一般的にはその患者さんの主治医ということになるでしょう。
では、
患者さんや家族は、
治療を全て先生に任せますという姿勢を取ることが適切で妥当なのでしょうか。
医学の専門家である医師は、
患者さんや家族より常に上位の人間であり、
患者さんや家族は黙って医師の指示通りにしていればよい、
という日本の従来の社会的風潮は、
現在の医療にはあてはまりません。
現在の日本の医療では、
一般的に患者さんは治療法やその効果と副作用、
リスク、治療に要する時間、費用などについて、
医師から十分な説明を受けた上で、
提示された治療法を受け入れるか拒否するかを、
自分で選択したり決定したりする権利を持っています。
医師が患者さんに必要とされる情報を完全に開示し、
患者さんと十分相談した上で治療を行うことを、
『インフォームド・コンセント』
と言い、
このような考え方は現在の日本に定着しています。
また最近では、
1人の専門医に全てを任せるのではなく、
外科医、放射線医、腫瘍内科医など、
各分野の医師が共同で治療にあたるチーム医療性や、
他の病院などの専門医の意見を聞くセカンドオピニオン性も広がっています。
自分の生死に関わる問題を医師任せにした時代は終わっているのです。
しかしながら自分の意志を明確にしたり、
医師が示した治療法に対して意見や希望を述べるには、
患者さんや家族もその病気について、
なるべく多くの知識を持つことが必要です。
病気や治療についての知識を持たないまま、
医師や病院に無理難題を持ちかけることは、
医師や病院を困らせ、
治療を困難にしかねないからです。
また、
何を持って治療が有効だったと見なすか、
治療の目的地点についての医師側と患者さん側の認識を概ね一致させておかないと、
その目標に向かって双方が協力して立ち向かうこともできません。
そして、
患者さんや家族が治療法の選択に加わった場合は、
それによって生じる結果に対して、
一定の自己責任を負うべきです。
結果が自分の期待通りじゃなかったからといって、
医師や病院を責めるようなことがあるとしたら、
それは見当違いの振る舞いとなり得ます。
これらの問題を考えるには、
まずガンの治療目的がどのようなものかを知っておく必要があります。
そこで現在のガン治療の考え方をまとめておきます。
【ガン治療の目的は何か?】
もちろん治療の第一の目的は病気を治すことです。
しかしこれは当たり前すぎて答えになりません。
実際のガン治療には、
状況に応じてそれぞれ次のような目的があります。
1、見つかっている全てのガン細胞を取り除く。
2、最初に発生したガン(原発ガン)の再発と転移を防ぐ。
3、ガンの治療効果と副作用のバランスを計る。
そして、
以上の治療目的が達成できずにガンが再発したり、
急速に成長した場合、
治療法には次の新しい目的が付け加えられます。
4、ガンをなるべく現状に留めるために、ガンをより直接的に攻撃する治療法を実施する。
5、全ての妥当な治療法を使い果たした場合には、
ガンによって患者さんに生じた痛みなどの症状を和らげる処置を行う。
以上のような治療の指針を実行するために、
医師はよく知られている治療法を単独で実施したり、
いくつかの治療法を組み合わせて用います。
ガンの治療は、
『手術』
『化学療法(抗がん剤)』
『放射線治療』
と、それ以外の、
『実験的治療』
に分けられます。
ちなみに、
実験的治療というのは、
その手法や治療効果はまだ確立していないものの、
将来の治療として可能性があると期待されているものです。
始めの3つの治療では効果を得ることができなかった患者さんは、
実験的な治療を希望することがあり、
医師側も再発したガンや、
末期のガン患者に対してこれらの治療法を紹介し、
勧めることもあります。
Posted by ブラックジャックの孫 at 10:59
│ガン治療に関する Q & A