てぃーだブログ › ブラックジャックの孫 間 黒助 の ガン治療研究ブログ › ガンの治療法 › 高濃度ビタミンC療法は効くのか効かないのか

2013年06月20日

高濃度ビタミンC療法は効くのか効かないのか



間 黒助です。




『 ビタミンC 』 とは、

栄養素としての一般的な呼び名であって、

化学名を 『 アスコルビン酸 』 と言います。

ビタミンC療法に用いるアスコルビン酸は、

グルコースから工業的に精製したものです。

これを1度に12.5~100g点滴して、

血中濃度を3.5~4.0mg/ml まで上げ、

ガン細胞を叩くというのが高濃度ビタミンC療法のレシピです。


ビタミンCは水溶性で、

かつ、ヒトが体内で作り出すことのできない物質であるため、

どれだけ注入してもいずれは尿と一緒に排出されます。

なので、


ガン細胞に効くだけの血中濃度を維持するためには、

2~3日おきの点滴が必要とされています。


厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2010年版)」によれば、

ビタミンCの摂取推奨量は1日100mg(0.1g)、レモン果汁なら5個分にあたります。

また、

美容やアンチエイジングを目的に粉末のアスコルビン酸を飲む場合、

添付文書に書かれている用量の上限は1日2gです。


次に血中濃度ですが、

これは健常者で高い人でも0.15mg/ml くらいとされています。

ビタミンC療法では、

最大25倍まで上げるというわけです。


ビタミンC療法で入れるアスコルビン酸100gは、

厚生労働省推奨量の1,000倍、

3~4g飲んだだけで下痢を起こす人もいるくらいだから、

こんな量をいっぺんに口から入れれば、

鉄の胃を誇る人でも間違いなく穴が開いて救急手術でしょう。

また、

仮に経口摂取できたとしても、

消化器官を通過する間にどんどん酸化し、

小腸で吸収できる能力に限界があるので、

点滴のようには効率よく血中濃度が上がりません。


結論から言えば、

高濃度ビタミンC療法のヒト体内での抗腫瘍効果は、

まだ立証されていません。

一方、

効果が無いということもまた立証されているわけではありません。


効く派の代表が、

高濃度ビタミンC療法を自由診療で行っている医師達です。

彼らはそれぞれが経営するクリニックのホームページで、

高濃度ビタミンC療法がガンに有効な根拠として、

2005年9月20日付の 『 PNAS(アメリカ科学アカデミー紀要) 』 誌に載った論文を挙げ、

これを解説したり、

症例報告論文や臨床試験情報などを紹介したりしています。


その論文の情報を伝える英文記事


一方、

保険診療でガンの三大標準治療に取り組む医師達は、

効かない派が大半のようです。


この論文の内容は、

ヒトやラットやマウスのガン細胞と、

正常な細胞それぞれをアスコルビン酸(ビタミンC)の溶液にさらした実験の報告です。

結果は、

ガン細胞の多くで、

アスコルビン酸の濃度が上がるにつれて生存率が低下したのに対し、

正常細胞の方は実験の最高濃度(20mM/ミリモル)でも50%以上生存した。

アスコルビン酸がガンの細胞に選択的にダメージを与えることを示しました。

さらに、

アスコルビン酸とカタラーゼを用いた対照実験により、

過酸化水素を無毒な水と酸素に変える反応を促すカタラーゼが、

正常細胞を守っているのではないかと推論しています。




ガン細胞を殺したのはあくまでも試験管の中でということです。

人間の血管にはアミノ酸やらイオンやら、

色々なものが大量に流れているので、

試験管の中とはまるで環境が違います。


厚生労働省のガン研究助成基金を受けて、

日本補完代替医療学会の監修で作成された『 がんの補完代替医療ガイドブック 』 には、

科学的根拠の信頼度を判断する指標が載っています(下表)。


高濃度ビタミンC療法は効くのか効かないのか


これによれば、

「基本的にヒトを対象として行われた研究であり……」とあり、

前提からこの論文はコケていることになります。

そこをスルーしたとしても、

これは表の “ 実験室の研究 ” にあたり、結果の信頼性は下から2番目です。

最も信頼性の高い “ ランダム化比較試験 ” まで4段階も差があります。

残念ながら治療効果があるとは言えない状態です。


効くか効かないかの中立の視点で見ると、

実験室で効果ありと判定されても、

承認を取ろうと思ったら、

その後、物凄い時間とお金をかけて、

何段階も治験をして基準を満たすデータを揃えて、

やっと抗腫瘍効果の承認にこぎつけます。

しかし、

アスコルビン酸なんて古い薬で、

すでに製造の特許は切れているので薬価が異常に安いです。

そんな安い薬のために製薬会社が、

莫大な治験コストを負担するなんて有り得ません。

しかも途中で効果が無いと分かればそこまでの投資は水の泡です。

つまり、

製薬会社にとっては勝算が見込めません。

だからヒトで効くかどうかは未来永劫、立証されないでしょうし、

保険診療にもならないと思います。


効くか効かないかよりも経済優先ということですね。


個人的には、

副作用がほとんど無いので、

料金が安ければやってみる価値はあるのではないかと思うのですが、

1回3万円ほどなので、

月8回行けば20万円を超えてしまいます。

普通の勤めの人なら大変な出費ですよね。

やはり代替医療は安価じゃなければ意味がないと思います。




高濃度ビタミンC療法は効くのか効かないのか





同じカテゴリー(ガンの治療法)の記事

Posted by ブラックジャックの孫 at 13:00 │ガンの治療法