2017年11月10日
「炭水化物が毎食7割超え」は注意 死亡リスク上昇
間 黒助です。
先日こんなニュースがありました。
炭水化物(糖質+食物繊維)の摂取割合が非常に多い人は死亡リスクが高く、
脂質の摂取割合が多い人は死亡リスクが低いという意外なデータが、
世界の18の国・地域の13.5万人以上を対象にした研究で得られました。
『 「低脂肪食」は本当に健康に良いのか 』
現在世界的に用いられている食生活ガイドラインは、
低脂肪食(総摂取エネルギーに占める脂質の割合が30%未満の食事)を推奨し、
さらに脂質のうち、
飽和脂肪酸(バターやラードなど常温で固まりやすい脂)を、
不飽和脂肪酸(魚油やサラダ油など常温で固まりにくい油)に置き換えることによって、
飽和脂肪酸の摂取量を、
総エネルギーの10%未満に制限することを推奨しています。
しかし、こうしたガイドラインは、
循環器疾患(心疾患や脳血管疾患など)の患者が多く、
脂質の摂取量も多い欧州と北米の人々を対象とした研究結果に基づいて作られたものです。
そのため、欧米以外の地域にも当てはめられるのかどうかは不明でした。
そこで今回、
カナダMcMaster大学のMahshid Dehghan氏らは、
低所得国(バングラデシュ、インド、パキスタン、ジンバブエ)、
中所得国(アルゼンチン、ブラジル、チリ、中国、コロンビア、
イラン、マレーシア、パレスチナ、ポーランド、南アフリカ共和国、トルコ)、
高所得国(カナダ、スウェーデン、アラブ首長国連邦)の、
計18の国と地域で行われた、
大規模な観察研究「PURE」に参加した、
35~70歳の13万5335人(年齢の中央値は50.29歳、
男性が41.7%)のデータを分析しました。
研究への参加が決まった時点で、
それらの人々の食事の内容を調べ、
その後、7.4年(中央値)追跡して、
あらゆる原因による死亡(総死亡)、
循環器疾患の発症と循環器疾患による死亡などの有無を調べました。
炭水化物の摂取量が多かったのは中国、南アジア、アフリカの国で、
脂質の摂取量が多かったのは北米と欧州、中東、東南アジアの国、
たんぱく質の摂取量が多かったのは南米と東南アジアの国の人々でした。
炭水化物、脂質、たんぱく質のそれぞれから摂取したエネルギーが、
総エネルギー量に占める割合を計算し、
最も少ない人から最も多い人までを並べて5等分しました。
それら5群のうちの最低群を参照として、
最高群の総死亡と、
主要な循環器疾患(循環器疾患による死亡、
死亡を免れた心筋梗塞、脳卒中、心不全)のリスクを評価しました。
『 炭水化物が7割超になると死亡リスク上昇が有意に 』
追跡期間中に5796人が死亡しており、
うち1649人が循環器疾患による死亡でした。
また、4784人が主要な循環器疾患を経験していました。
最低群と最高群のリスクに統計学的に意味のある差が見られた項目を、
栄養素別にまとめると、次のようになりました。
(1) 炭水化物:最高群の死亡リスクは28%増
炭水化物については、
最低群(総エネルギーに占める炭水化物の割合の中央値が46.4%)と、
比較した最高群(同77.2%)の総死亡のリスクは28%高く、
摂取量が多いほど死亡リスクは高い傾向が見られました。
最高群では、循環器疾患以外による死亡のリスクも36%高くなっていました。
摂取量の増加とリスク上昇の関係を調べたところ、
総死亡のリスクは、
総エネルギー量に占める炭水化物由来のエネルギーが60%を超えたあたりで、
上昇傾向を示しました。
おおよそ70%を超えると、
リスク上昇は統計学的に意味のあるレベルになり、
それ以降も上昇は続くことを示す結果が得られました。
70%を超えると、主要な循環器疾患のリスクも急上昇していました。
(2) 脂質:最高群の死亡リスクは23%減
脂質については、
炭水化物とは反対に、
最低群(総エネルギーに占める脂質割合の中央値が10.6%)に比べ、
最高群(35.3%)の総死亡リスクは23%低くなっていました。
同様に、脳卒中と、循環器疾患以外による死亡のリスクも低くなっていました。
脂質の総摂取量の増加とリスク低下の関係を調べたところ、
死亡リスクは、
総エネルギー量に占める脂質由来のエネルギーが15%を超えたあたりから、
統計学的に意味のある低下を示し、
しばらくはその値を維持していました。
さらに30%以上になると、摂取量の増加に伴いさらなるリスク低下を示しました。
飽和脂肪酸、
一価不飽和脂肪酸、
多価不飽和脂肪酸の摂取は、
いずれも、少ない人より多い人のほうが、
総死亡リスクと、循環器疾患以外による死亡のリスクは低いことが示唆されました。
(3) たんぱく質:最高群の死亡リスクは12%減
たんぱく質摂取量についても、
最低群(総エネルギーに占めるたんぱく質割合の中央値が10.8%)に比べ、
最高群(19.7%)の総死亡リスクは12%低く、
循環器疾患以外による死亡のリスクも15%低くなっていました。
なお、動物性たんぱく質の摂取は、
総死亡リスクの低下に関係する一方で、
植物性たんぱく質の摂取は総死亡リスクに影響を及ぼしていませんでした。
これまでに欧米で行われた研究と比べると、
今回の分析対象となった人々の炭水化物の摂取量は多く、
およそ4分の1が総エネルギー量の70%超を炭水化物から摂取していました。
今回の研究は、
「総エネルギー量に対する、
炭水化物由来のエネルギーの割合が高すぎる人は総死亡リスクが高い」
こと、
「脂質摂取量は、少ない人より多い人のほうが、総死亡リスクは低い」
ことを示しました。
著者らは、
「低所得国の食生活は、炭水化物の摂取量が非常に多く、
それも精製穀物が中心であるため、
炭水化物を減らして脂肪からエネルギーを摂取したほうがよい」とし、
食生活に関する世界的なガイドラインの再考が必要との考えを示しています。
※論文は、2017年8月29日付のLancet誌電子版に掲載されました。
<11/7(火) 7:47配信 NIKKEI STYLE>

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間 黒助
Posted by ブラックジャックの孫 at 14:33
│間違いだらけの食生活