2012年11月14日
ガン細胞が増殖するスピードは?
間 黒助です。
ガン細胞は猛烈に増殖すると言われますが、
実際はどのくらいの速さで増殖するのでしょうか。
正常な細胞もガン細胞も、
分裂して増殖する性質を持っています。
簡単に言うと、
1個の細胞は分裂して2個になり、
2個が分裂して4個になり、
8個、16個、32個、64個と倍々になっていきます。
こうして1個の細胞は20回分裂すると100万個になり、
30回で10億個、
40回で1兆個になります。
しかしガン細胞が1兆個に達するよりかなり前に、
患者さんは様々な合併症を起こして死に至るでしょう。
人間の細胞の大きさは、
臓器などによって違いがありはしますが、
大体、直径が100分の数mm、
数十個並べてやっと1mmになるほどです。
なので、
ガン細胞が100万個の段階では、
現在のガンの診療技術では見つけることがかなり困難です。
しかし10億個だと明らかなシコリとして感じられ、
1兆個だと計算上、
1㎏ほどの大きさになります。
ガン細胞が正常細胞より遥かに早く成長するとしたら、
それはなぜなのかを説明すると、
まず、
細胞が分裂するとき、
その始めから終わりまで『細胞周期』と言いますが、
それに必要な時間はほぼ4段階に分かれています。
(1) 遺伝子の本体であるDNAをコピーする準備時間は10~12時間。
(2) 実際のDNAのコピー時間は6~8時間。
(3) 細胞分裂の準備時間は3~4時間。
(4) 分裂に必要な時間は1時間。
1回の細胞分裂には合計約24時間かかることになります。
分裂して新たに生まれた細胞の中には、
しばらくそれ以上の分裂を止めて休眠状態に入るものもありますが、
それらも活動しろとの信号を受け取ると、
数時間以内に分裂を始めることができます。
また、
正常な細胞は、
分裂を数十回繰り返したり、
DNAのコピーミスが累積したりすると、
自ら死を選ぶように設計されていて、
それを細胞の自殺(アポトーシス)と呼ばれます。
アポトーシスとは、
細胞自身が自殺することによって不要な分裂や増殖を回避し、
組織の正常な働きを維持するように作られていることを言います。
しかしガン細胞では、
細胞が突然変異し狂って勝手な速さで動いてる上、
細胞死の設計図も書き換えられているので、
アポトーシスする仕組みが失われています。
そのためガン細胞の分裂は一切制御されず、
栄養分と酸素さえ供給されれば、
いくらでも分裂を繰り返します。
また、
酸素や栄養が足りないときには、
近くの血管から自分のところまで新しい血管を引いてくる物質を放出し、
血液から酸素や栄養分を欲しいだけ取り込みます。
これが人間の体内でガン細胞が凄い速さで成長できる主な理由です。
正常な細胞が必要な時だけ、
約1日かけて分裂と増殖をし、
さらに自分の役割を果たしたあと自殺していくときに、
ガン細胞が数時間~十数時間で休みなく分裂と増殖を繰り返し、
自殺することがないとしたら、
単純に言えば、
たった1個のガン細胞が40日後には1㎏のガンになる計算です。
実際には、
ガンの種類による違いや、
転移などの複雑な過程のために、
ガンの成長の仕方はそれほど単純ではないものの、
これがガンの基本的な増殖速度です。
ガン細胞の不可解な性質はただ1つ。
自分自身を無限に生み出すことです。
そして、
その分裂と増殖によって、
自分の宿主(患者さん)を死に至らしめ、
結局はガン細胞自身も死なねばならないとしても増え続けるのです。

Posted by ブラックジャックの孫 at 11:55
│ガン治療に関する Q & A
この記事へのコメント
肝臓がんではないかと心配しています。左わき腹に2か月前くらいからしこりがあります。C型肝炎ウイルスのキャリアーです。
Posted by 天神わたる at 2017年05月30日 07:36
天神わたる 様
1度、病院で検査を受けてみてください。
C型肝炎であるなら主治医に相談してみるといいと思います。
間 黒助
1度、病院で検査を受けてみてください。
C型肝炎であるなら主治医に相談してみるといいと思います。
間 黒助
Posted by ブラックジャックの孫
at 2017年06月02日 18:52
