2014年04月15日

メラトニンのガン抑制効果



間 黒助です。




ガンと現在の生活習慣の関係

先進国の女性に乳ガンが多いのはなぜか

夜間勤務と乳ガンの関係

の続きですが、

リチャード・スティーブンス博士が提唱したメラトニン仮説は、

動物実験でも証明され始めています。


アメリカのニューオリンズにあるテュレーン大学のデイビッド・ブラスク博士も、

そうした研究を続けてきた1人です。


ブラスク博士のチームはまず、

夜間勤務をしている人は本当にメラトニンの分泌が抑えられているのか、

実験で確かめようとしました。

被験者の女性に協力してもらい、

昼間の血液中に含まれるメラトニンの濃度を調べ、

続いて夜、同じ被験者達に研究室に集まってもらいました。

通常の夜の暗さの中で寝てもらい

2時間後、寝ている間に血液のサンプルをとります。

その後、

被験者を起こし、

照明の光を90分間浴びてもらい、

血液中のメラトニン濃度を調べました。

その結果、

寝ている時のメラトニン濃度は日中の5倍で、

夜に光を浴びた後のメラトニン濃度は、

日中と変わらないレベルまで低下することが明らかになりました。


ではメラトニンは本当にガンの抑制効果があるのか、

ブラスク博士たちは次の段階の実験に取り掛かりました。


マウスを2つのグループに分け、

それぞれの足にヒトの乳ガンの細胞を移植します。

その上で1つのグループには、

メラトニン濃度が高いときの女性の血液を還流させます。

すると、

そのグループのマウスに移植したガン細胞は分裂が抑えられ、

ほとんど大きくなりませんでした。

一方、

もう1つのグループにはメラトニン濃度が低いときの女性の血液を還流させました。

こちらはガン細胞がどんどん分裂し、

見た目にもかなり大きな腫瘍に成長しました。

血液中にメラトニンが充分にあるときは、

ガン細胞の成長が抑えられることが分かったのです。


ブラスク博士は実験の結果についてこう述べています。

「私達が行ったのは、夜寝ている間の血液は、

ガン細胞の分裂を抑え込むメラトニンが含まれていることを示す初めての実験でした。

そして夜に起きて、電気をつけた環境で過ごしていると、

メラトニンの生成が著しく下がってしまうことも分かりました。

メラトニンがきちんとその効果を発揮するには、

暗い部屋で普通に寝ている必要があるのです。」


ではメラトニンはどのようにしてガン細胞の成長を抑制しているのでしょうか。

これについても数多くの研究が進められています。

ブラスク博士たちが注目しているのは 『 脂肪酸 』 です。

脂肪酸は、

ガン細胞が分裂して成長していくために欠かせません。

ところが博士達は実験で、

血液中のメラトニン濃度が高い状態では、

ガン細胞が脂肪酸を使えなくなることを突き止めたのです。


他にもメラトニンには、

ガン細胞を攻撃するT細胞という免疫細胞の働きを、

助ける作用があるとする研究もあります。

ガン細胞が成長するために欠かせない、

新生血管ができるのを阻害しているという報告もあります。


そしてメラトニンがガンを抑制する仕組みとして、

特に有力視されているのが女性ホルモンへの影響です。

メラトニンには、

乳ガン細胞の増殖に大きな役割を果たしている、

エストロゲンの分泌を抑える作用があるらしいのです。

実験ではメラトニンの分泌量が上がると、

エストロゲンの分泌量が下がることが確認されています。


実は、

メラトニンには男性ホルモンの分泌を抑える働きもあります。

男性ホルモン(テストステロン)は前立腺ガンの成長を左右しているホルモンです。

男性も夜間勤務をしていると、

照明の光を浴びることでメラトニンの分泌が抑えられ、

前立腺ガンのリスクを増大する可能性があります。


産業医科大学の久保達彦博士は、

2006年に発表した論文で、

世界に先駆け、

夜間勤務は前立腺ガンのリスクが高いことを報告しました。

日本国内の15,906人の前立腺がん患者を対象にした研究で、

日勤の人を1とすると、

交代で夜間勤務を行っている人は、

前立腺ガンになるリスクが3倍も高かったのです。




ところで、

メラトニンをサプリメントとして摂取することで、

ガンを予防することはできないでしょうか。

現在アメリカでは、

人工的に合成したサプリメントが販売されていて、

睡眠導入剤などとして使われています。

ガンを抑える効果を試した研究もありますが、

思ったような成果が上がっていません。

体内で合成するメラトニンとは作用がどうも違うようです。

薬としてもっと開発してはとも思いますが、

特許を取るには新しい物質でなくてはならず、

元々、人体に存在するメラトニンは、

製薬会社にとって大きな利益にならないという実情もあるのでしょう。




メラトニンのガン抑制効果




メラトニンのガン抑制効果




メラトニンのガン抑制効果






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間 黒助





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Posted by ブラックジャックの孫 at 14:26 │人間はなぜガンになるのか