2014年04月11日
先進国の女性に乳ガンが多いのはなぜか
間 黒助です。
『 ガンと現在の生活習慣の関係 』
の続きですが、
乳ガンは世界的に増加しているガンの1つです。
日本でも1年間に乳ガンと診断される人は、
推計で5万人を超え(国立がんセンター調べ)、
部位別の罹患者数で第1位となっています(2008年地域がん登録全国推計の罹患データ)。
生涯のうちに乳ガンに罹患する確率は16人に1人(欧米は8~10人に1人)です。
乳ガンは先進国に特有のガンと言われます。
多くの疫学データが、
発展途上国より、
工業化が進んだ国ほど罹患率が高いことを明らかにしています。
食事だけでなく社会進出など、
現代に特有の様々なライフスタイルが重要な発生リスクだと言われています。
例えば、
妊娠、出産経験がない、
出産回数が少ない、
初潮が早い、
閉経が遅い、
授乳期間が短い、
飲酒、
喫煙、
などです。
乳ガンはエストロゲンという女性ホルモンと関係が深く、
エストロゲンの刺激によりガン細胞が増殖する場合が多いです。
テストステロンという男性ホルモンの刺激でガン細胞が増殖する前立腺ガンと似ています。
そのため、
生涯のうちにエストロゲンにさらされる時間が長い人ほど、
リスクが高くなるのです。
エストロゲンは排卵と関係しているため、
初潮から閉経までの間、
絶えずエストロゲンが分泌されていることになり、
閉経後も脂肪組織でわずかに作られます。
初潮から閉経までの間、
エストロゲンが低下するのは妊娠中と授乳期間中です。
妊娠中は月経がなくなり、
授乳期間中は赤ちゃんに乳首を吸われることで、
プロラクチンというホルモンの分泌が盛んになり、
これが排卵を抑制するのです。
現在でも狩猟採集生活をしているタンザニアのハッザなどから、
僕達の祖先は、
生涯に4~6回の妊娠を経験し、
閉経までの約30年間の半分以上を子供への授乳期間に充てたと推測できます。
月経周期の総数は150回程度だったでしょう。
一方で、
現代の先進国の女性はどうかといいますと、
まず栄養状態が良くなり、初潮年齢が早くなりました。
日本人場合、
平均の初潮年齢は、
昭和20年代の前半で14~14.5歳、
その後、年々早まって、
現在では12~12.5歳だと言われています。
妊娠・出産回数は少なく、時期も遅くなりました。
厚生労働省の平成22年度 『 出生に関する統計 』 によりますと、
出生率は 1.37 と過去最低でした。
平成17年の 1.26 からは緩やかに増えていますが、
戦後の第1次ベビーブーム(昭和22~24年)の 4.54 には遠く及びません。
第1子を産む平均年齢は29.7歳で、
昭和50年には25.7歳だったのをみると、
『 晩産化 』 が進んでいることが分かります。
授乳期間については、
きちんとした統計がなく不明ですが、
粉ミルクの普及や仕事をしながら子育てをするお母さんが多いことから、
短くなっていることは想像できます。
月経周期の総数は300~400回で、
祖先の女性達に比べると、
2~3倍も多くなっているようです。
つまり現代の先進国の女性は、
生涯を通じて浴びるエストロゲンの量が総じて増えてきているのです。
これが日本をはじめ、
先進諸国の乳ガンの罹患率を増加させている一因だとされていますが、
研究者達は、
そうしたリスク要因だけでは、
乳ガンが増加し続ける理由の半分ほどしか説明できないと考えています。
もっと他の要因がなければ、
これほど増加することはないのではないかということです。
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間 黒助
Posted by ブラックジャックの孫 at 15:07
│人間はなぜガンになるのか