2013年07月30日

新たに注目される代謝遺伝子



間 黒助です。




2009年、

ガン研究に1つの転機が訪れました。

その背景には、

網羅的なゲノム解析や、

代謝物を解析する技術の発展があります。


ゲノム解析技術が未熟だった頃には、

ガンの原因となる遺伝子の変異について研究する場合、

多くの研究者は、

すでに見つかっているガン遺伝子やガン抑制遺伝子、

及びそれらに近縁の遺伝子群にのみ焦点を当てていました。

全ての遺伝子を調べる余裕がなかったからです。


しかし解析技術やコンピューターの能力が進歩してくると、

とにかく全てを調べてみるという、

『 アンバイアスト・アプローチ(偏りのない探究法) 』 が可能になりました。

その結果、

脳腫瘍の細胞では、

代謝に関わるある遺伝子が変異していることが分かりました。


この遺伝子は 『 IDH 』 と呼ばれ、

糖を分解した物質からアミノ酸を生産するときに活動します。

それまでガンのゲノム科学的研究においては、

基本的な代謝はあまり注目されていませんでした。


『 IDH 』 の変異によって、

細胞内には代謝によって生産されるある分子(2‐HG)が、

正常な細胞の100倍近くも蓄積することが明らかになりました。

この分子は、

細胞をガンのように振る舞わせる活性を持つと報告されています。

そこで、

このような物質を 『 造腫瘍性代謝物(オンコメタボライト) 』 と呼ぼうと提唱されています。


発酵によってエネルギーを作るガン細胞 』 で書いた、

ワールブルクの発見に端を発する古くて新しい研究分野、

すなわちガン特有の代謝の仕組みの研究は、

現在急速に展開されつつあります。



新たに注目される代謝遺伝子






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間 黒助





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Posted by ブラックジャックの孫 at 11:34 │人間はなぜガンになるのか