2013年07月18日

ガン細胞はアポトーシスを無視する



間 黒助です。




人間をはじめとする生物が1個の受精卵から生まれ育つときや、

成長後に体を正常に維持していくときには、

細胞の増殖をコントロールする仕組みが非常に大切です。

同時に、

不要な細胞を積極的に排除する仕組みもまた重要です。


例えば、

胎児の手の先は、

はじめは “ 団扇(うちわ) ” のような形をしています。

しかしその後、発生がすすむにつれて、

指の間の細胞が死んで消滅し、

ついには手のひらの形となります。

このように、

細胞が “ 計画的に ” 自殺していく現象を、

『 アポトーシス(予定された細胞死) 』 と呼びます。


細胞の自殺は、

個体の発生時に限らず、

大人になってからも体の至るところで起こります。

例えば、

風邪などの感染症が治り、

もはや用済みになった免疫細胞には、

細胞から「自殺せよ」という信号が届き、

また細胞内の遺伝子が傷つくなどの問題が生じたときには、

細胞自身が自殺の引き金を引きます。


ある種のガン抑制遺伝子は細胞に自殺を促します。

例えば、

多くのガンで変異が見つかる 『 p53遺伝子 』 は、

DNAが傷ついたときなどに働き始め、

まずは細胞分裂にブレーキをかけると同時に、

傷の修復機構にスイッチを入れます。

しかし、

傷の程度が酷くて修復不可能な場合には、

アポトーシスによって細胞を死に導きます。




ガン細胞はアポトーシスを無視する




このような遺伝子が変異し、

細胞死が起こりにくくなると、

細胞のガン化が促されると考えられます。


一方で、

ガン遺伝子のあるものは、

細胞が自殺する過程を抑えます。

細胞が自殺しようとしても、

細胞が死なないように、

または死ねないようにし、

細胞をガン化へと向かわされるのです。





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Posted by ブラックジャックの孫 at 20:01 │人間はなぜガンになるのか