2013年06月24日
食べないから死ぬのではなく、死ぬ時が来たから食べなくなる
間 黒助です。
今、僕達日本人は核家族化が進んだこともあり、
自然な出来事である “ 死 ” を、
日常生活からほとんど排除して暮らしています。
なので当然、
90歳代の親が死ぬことが、
70歳前後の、その子供達の念頭にない、ということが生じます。
自分達だっていつ死んでもおかしくない年齢に達しているにもかかわらずです。
なので親の死期が迫っているという事実を突き付けられると狼狽します。
そして、
こんなはずではなかった、
こんなことならあぁしておくんだった、
こうしておくんだった、
ということで、
延命に走ってしまうようです。
しかし、
発達したと言われる近代医学であっても、
延命治療で死を少しばかり先送りすることはできても、
回避できるような力はありません。
治せない死に対し、
治すためのパターン化した医療を行うわけですから、
わずかばかりの延命と引き換えに、
苦痛を強いられることになります。
まさに、
“ できるだけの手を尽くす ” が、
“ できる限り苦しめる ” とほぼ同義になっていると言っても、
言い過ぎではない状況を呈しています。
これを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。
それは、
親が一定の年齢に達したら(繁殖を終えたら)、
死を頭の片隅においてかかわりを持つことだと思います。
つまり、
人間はいつか死ぬ存在ですから、
明日死なれても後悔の少ない関わり方をします。
そして、
その日が来るまでそれを続けるということです。
よく「点滴注射のおかげで1ヶ月生かしてもらった」などという話を耳にします。
しかしよく考えてみて下さい。
点滴注射の中身はブドウ糖がわずかばかり入った、
スポーツドリンクより薄いミネラルウォーターです。
水だけ与えるから、
自分の身体を溶かしながら生きろというのは、
あまりにも残酷というものではないでしょうか。
また、
口から食べるのは自然といっても当人の身体が欲しがらなくなっている、
にもかかわらず無理に口をこじ開けて放り込むのも同じことです。
“ 脱水 ” は、
意識レベルが落ちてぼんやりとした状態になり、
不安や寂しさや恐ろしさから守ってくれる働きをします。
それなのにたとえ善意にしろ、
せめて水だけでも与えることは、
この自然の仕組みに反し、邪魔することになるのです。
赤ちゃんが眠いのに色々ちょっかいを出されて眠らせてもらえないのに似ています。
確かに見殺しにするようで辛い、
何もしないで見ているだけなんてことはできない、
という気持ちも分からないではありません。
しかし、
こちら側の都合だけで何かをするというのは “ エゴ ” と言っていいと思います。
その行為は誰のため、何のためなのか、
やった結果、どうなるのかを考える必要があります。
本人は嬉しがるか、
幸せに感じるか、
感謝してくれるか、
あるいは自分だったらして欲しいことなのかなど、
吟味してみなくてはなりません。
確かに僕達は何もせずに見守ることに慣れていません。
辛いことです。
だからと言って、
自分が苦しさや辛さから免れるために、
相手に無用な苦痛を与えてもいいという道理はありません。
そっとしておく思いやりもあるのです。
また、
例え延命したとしても、
悲しみは無くなりも減りもしません。
ただ先送りするだけなのです。
残される人間が、
自分達の辛さ軽減のため、
また、
自己満足のために死にゆく人間に余計な負担を強い、
無用な苦痛を味あわせてはなりません。
医療をそんな風に利用してはいけないのではないでしょうか。
辛くても死ぬべき時期にきちんと死なせてやるのが家族の愛情というものでしょう。
そういう視点に立てば、
死に目に会うというのも同様です。
本人と話ができる状況ならともかく、
虫の息の状態を引き延ばすわけですから、
残酷な家族と言ってもいいのかもしれません。
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間 黒助
Posted by ブラックジャックの孫 at 19:07
│死とはどういうことか