2013年05月21日
検出できない微小転移
間 黒助です。
医師の中には、
患者さんを安心させるために色々なことを言う人がいます。
しかし、
それは必ずしも当てになりません。
例えば、
「ガンはもう不治の病ではありません。ガンは治る病気です。ガンは怖くありません。」
などと言う人もいますが、
そんなことはありません。
ガンは基本的に怖い病気です。
不治の病かそうでないかと言えば、
治癒という言葉の定義にもよりますが、
本質的には不治の病と言った方が正しいのです。
しかし、
ガンが治ったように見える場合もあるし、
医師がそういう表現をする場合もあります。
でも、
それはより正確に言えば、
ガンが見えなくなったというか、
通常の検出手段では検出不可能なレベルに小さくなった、
というに過ぎないケースがほとんどです。
どこかに転移している様子が全く見られないというときに、
医師はそのように言うことがありますが、
それは必ずしもガン細胞がゼロになったということを意味しません。
ガンは基本的に、
ガン細胞の数が、
10億個以上の細胞の塊になったとき(重さにして1g、径にして1㎝)が検出限界で、
それ以下のガン細胞の塊は見つけることができません。
しかし、
検出に引っ掛からなくてもそれ以下のガン(マイクロ発現状態、または微小転移状態)は、
いつでもあり得ることだということを知っておく必要があります。
手術して取ったはずのガンが、
しばしば何年か経ってから再発するということがあるのはなぜかと言うと、
微小転移したガンが時間の経過と共に、
大きく育って、
検出限界以上になってしまったということがあるからなのです。
なので、
検査でガンが消失したように見える場合でも、
良心的な医師は、
安易に「あなたのガンは根治しました」などとは言わず、
将来再発の可能性があることをハッキリ告げるものです。
Posted by ブラックジャックの孫 at 15:22
│日本の医学界