2013年07月11日

細胞を増殖させる遺伝子



間 黒助です。




昨日の 『 ウイルスもガンを作る 』 で書いたように、

歴史上、

最初に見つかったガンウイルス(腫瘍ウイルス)は、

ニワトリに感染する “ ラウス肉腫ウイルス ” です。

このウイルスが持つ遺伝子は、

ある酵素(チロシンキナーゼ)を作ります。


この酵素の主な役割は、

たんぱく質を構成するアミノ酸の一種(チロシン)に、

リン酸という物質を付けることです。

細胞内でこのリン酸化が起こると、

いくつかの遺伝子のスイッチが入ったり切れたりし、

その結果、

細胞が増殖します。


つまり、

ガンウイルスが細胞にガン遺伝子を持ちこむと、

チロシンキナーゼが異常に活発に働き始めるため、

ガン細胞が作られることになるのです。


サル、ネコ、マウス、ニワトリといった動物を宿主とするガンウイルスからも、

いくつかのガン遺伝子が見つかりました。

それらは、

ある種のホルモンや、

それを受け取る分子(受容体)、

その信号を細胞内に伝える分子などを生産するものでした。


受容体とは、

細胞の外からやってくる特定の物質の刺激だけを受け取る、

いわば専用アンテナです。

この分子は、

ホルモンの信号を受け取ると、

チロシンキナーゼと同じ働きをして、

細胞増殖の引き金を引きます。


正常な細胞では、

細胞が増殖すべきときに、

必要な量のホルモンが供給されます。

そして、

細胞表面の受容体がホルモンを感知したときだけ、

細胞内に変化が起こります。

こうしてはじめて細胞分裂を引き起こすための遺伝子が働き始めます。


ところが、

ガンウイルスが感染した細胞は、

自分自身でホルモンを大量に作ったり、

受容体がホルモンを捉えてもいないのに、

細胞内の変化を進めたりします。


つまり、

このような細胞は、

上流からの指令なしに下流に「増殖せよ」という信号を伝えるのです。

その結果、

細胞は実際の信号などお構いなしに分裂し始めます。


つまり、

細胞同士の間や細胞内で “ 増殖信号が勝手に伝達される ” ことこそ、

ガンウイルスがガンを引き起こす仕組みだと考えられます。


ところで、

ガンウイルスにはRNAを遺伝物質とする※レトロウイルスが多く見られますが、

そのガン遺伝子には共通の特徴があります。

それらの起源がいずれも細胞の遺伝子であるということです。




※レトロウイルスとは、RNAを遺伝子とするウイルス。

細胞に感染すると逆転写酵素を用いてRNA情報からDNAを合成し、

宿主の染色体の間にこのDNAを挿入する。




細胞を増殖させる遺伝子

(ガンウイルスの1つであるHTLV-1はレトロウイルスの一種。

成人T細胞白血病を発症する恐れがあります。)




レトロウイルスが宿主の細胞内に感染すると、

そこで自身の遺伝情報を持つRNAからDNAが作成されます。

このDNAは宿主の染色体に挿入され、

RNA(つまりウイルス自身の遺伝物質)を作るチャンスを待つことになります。


そうすると考えられるのは、

宿主細胞がウイルスRNAを生産したときに、

宿主細胞の遺伝情報を持つRNAと、

ウイルスRNAとが誤って合体したものが生じたという可能性です。


言い換えると、

ガンウイルスの祖先は、

宿主細胞の遺伝情報の一部を盗み取って自分のものとしたということです。

その際(またはその前後に)、

宿主細胞の遺伝暗号の一部が変化をきたし、

活性の高まったたんぱく質、

あるいは大量のたんぱく質を産生する能力を獲得したと推測できます。


このようなガンウイルスは、

感染した細胞にコントロールの効かない異常な分裂能力を与えると考えられます。




こちらを読んでもらえば分かりますが、

「がんの特効薬は発見済みだ!!」 の記事を書いて半年が経ちました

僕がしている活動でお送りしているパラヒドロキシベンズアルデヒドですが、

上記のチロシンキナーゼと関係があります。

チロシンは芳香族アミノ酸の一種で、

ベンゼン核にアラニンと水酸基とが対角位置に付いた構造をしています。

キナーゼはリン酸気を付加する酵素です。

一方、

パラヒドロキシベンズアルデヒドも、

ベンゼン核にアルデヒド基が付く構造を持っており、

アルデヒド基と対角位置に水酸基があり、

チロシンと似た構造であるため、

酵素の基質受容体がチロシンと誤認してパラヒドロキシベンズアルデヒドを受容するので、

本来の基質であるチロシンが酵素の基質受容体に付着できなくなり、

酵素活性が低下し、

発ガンのプロセスが停止するという仕組みです。






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間 黒助




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