2013年07月20日
血管を作り出す遺伝子
間 黒助です。
腫瘍細胞、特に悪性度の高いガン細胞は、
その増大に大量の栄養を必要としています。
腫瘍細胞が増殖して直径 1mm 以上の塊になると、
そのままでは内部に栄養や酸素が届かなくなり、
中心部から死滅していきます。
そこで、
腫瘍細胞がそれ以上増えるためには、
栄養と酸素を補給する新たな血管を、
自分の内部に呼び込む能力を獲得しなければなりません。
これに成功した腫瘍のみがガン化への道を辿り、
急速に増殖し始めると考えられています。
血管は一般に3層構造をなしています。
チューブ状の構造を作る性質を持つ細胞(内皮細胞)の上を固形分子の膜が覆い、
その周りをさらに筋肉細胞が取り巻いています。
※血管壁は内側から内膜、中膜、外膜の3層構造をしています。
多くのガン細胞は、
内皮細胞、つまりチューブを作っている細胞の増殖を促す物質(VEGF)を分泌します。
これによってガンの内部に新しい血管が伸びていき、
ガンを成長させるために十分な栄養を送り込むことができるようになります。
※ガン細胞は血管の成長物質(VEGF)を放出して、
近くの血管から新しい血管を呼び込み、
ガンに新しい酸素と栄養を供給します。
VEGF遺伝子は、
ある種のガン遺伝子の働きによってスイッチオンになることが知られています。
一方で、
ガン抑制遺伝子の中には、
VEGFの発現を抑えたり、
血管の成長を積極的に抑える分子が発現するように働きかけるものもあります。
まるで増殖するためだけに生き続けるように見えるガンも、
血管が無くては増殖できません。
そこで、
血管新生をブロックする物質を用いれば、
ガンの増殖を抑えられるはずです。
※ベバシズマブなどの分子標的薬である血管新生阻害薬は、
VEGFをブロックして血管が新たに成長するのを抑えます。
わずかな例外(ケガの修復時や女性の月経など)を除けば、
健康な成人において血管が新しく作られることは稀です。
そのため、
ベバシズマブ(商品名:アバスチン)などの血管新生阻害薬は、
有効かつ副作用の少ない抗がん剤として謳われていますが、
もちろん出血、血栓症、消化管穿孔、創傷治療の遅延、血圧上昇などの副作用があり、
他の抗がん剤と併用されるので副作用は酷いものになります。
そして徐々にガンが耐性を持ってくると他の抗がん剤同様に効かなくなってしまいます。
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間 黒助
Posted by ブラックジャックの孫 at 12:04
│ガンが成長する仕組み