2013年05月16日
ガンに対する理想的な免疫系の反応の仕方
間 黒助
ここ数日書いてきたのが、
ガンに対する理想的な免疫系の反応の仕方です。
一般の方には少し難しかったと思うので、
「原発巣から他の臓器にガンが転移し、
眠っていたガン細胞が少しずつ増殖し始めた状況」 を仮定して、
おさらい的に、
人間の体の中でどんな順番でこの免疫応答が起こってるのかを書いていきます。
血管にまで到達した新たな腫瘍の芽を、
まず血液中をパトロールしているNK細胞が発見します。
すぐさま襲いかかり、
ガン細胞を殺すと同時に自らの活性化を始めます。
インターフェロン‐γ(ガンマ)などのシグナル伝達物質を盛んに生産し、
マクロファージの活性を上げるのです。
NK細胞に殺されたガン細胞は、
活性化した貪食細胞のマクロファージや樹状細胞に食べられます。
そして、
その体内でペプチドにまで分解され、
細胞表面上の組織適合抗原クラスⅠ分子、及びクラスⅡ分子を介して、
T細胞(Tリンパ球)への抗原提示が行われます。
マクロファージや樹状細胞などから抗原提示を受けたキラーT細胞は、
すぐさま自らの活性化を始めます。
また、
同様に抗原提示を受けたヘルパーT細胞も、
自らの活性化を始めます。
活性化されたヘルパーT細胞は、
キラーT細胞をさらに活性化させる刺激を与え、
猛烈に増殖を始めたキラーT細胞は、
教え込まれた抗原を持つガン細胞に特異的に襲いかかり、
次々に破壊していきます。
破壊されたガン細胞は、
同じくマクロファージや樹状細胞に食べられ、
再び抗原提示が行われ、
各種のT細胞(Tリンパ球)がさらに活性化する……というように、
細胞性免疫を優位に傾ける方向への正のスパイラルが起これば、
それが理想的なのです。
体内で常にこのような反応が起きていれば、
再発や転移も全く怖くはありません。
しかし、
ガン細胞は狡猾で頭がいいので、
この免疫系の監視機構の目をかいくぐり、
増殖を始めるものが出てくるのです。
そして、
この免疫系の働きを邪魔するために様々な手を使ってきます。
次回からは、
ガン細胞の行うそうした免疫系への対抗策を詳しく書いていきたいと思います。
Posted by ブラックジャックの孫 at 13:45
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