間 黒助です。
ガンの最終診断というのは、
ガン組織を顕微鏡で肉眼的に見ることです。
この顕微鏡で組織診断をする専門家を病理医といいます。
病理医は、
顕微鏡で見た組織がどの細胞に由来しているかで診断します。
しかし、
最終診断であるはずの組織検査の結果は、
病理医によって異なることがしばしば起こります。
なぜ病理医によって診断がまちまちになるのでしょうか。
ガン細胞では、
程度差はありますが組織のミクロな構造そのものが壊れています。
顕微鏡ではこの壊れたミクロの構造を見るわけですが、
見る腫瘍の場所によっても、その壊れ方はまちまちです。
また、
炎症反応が起きている組織でも、
ガン細胞と同じく組織の構造が壊れています。
さらに細胞レベルでも同じようなへんか(核の分裂像など)が認められます。
実は医師が病理医にオーダーするときは、
例えば “ 肝臓がんの疑い ” と診断書を書き、その患者さんの病歴も記入します。
その情報をもとに顕微鏡での所見と併せて病名を絞っていくのです。
もし病理医に何の情報も与えないで、
炎症が起きている組織とガンの組織の2つの検査を依頼すれば、
2つともガン、あるいは炎症性変化と診断される結果になるでしょう。
1番、気をつけなければいけないのは子宮頸ガンです。
まず子宮頸ガンの定義として、
0期を上皮内がん、1期~を浸潤ガンと言います。
※問題は0期の上皮内ガンです※
日本では子宮頸ガンの0期のことを指す上皮内ガンですが、
組織検査で浸潤していないという結果をもとに診断します。
アメリカの高名なガン専門病院で子宮頸部の上皮内ガンを放置・観察した研究があります。
67人を経過観察したところ、
0期から1期に進行したのはわずか4人のみでした。
浸潤した可能性があるものの、断定はできないケースが5人。
残りの58人中、
上皮内ガンのままとどまったのは41人に上り、
あとの17人は自然消滅してしまったとの報告です。
※しかしこの報告には少し問題があります。
生検でガンと診断することは出来ますが、
子宮切除のような手術をして組織検査しなければ、
ガンが上皮内にとどまっていると確定診断できないからです。
ガン細胞が上皮を超えて少し奥に入っていれば浸潤ガンであり、1期とされます。
浸潤した部分が病変全体に占める割合がわずかでも(たとえ0.1%でも)、
浸潤ガンとの診断になります。
そのため、
術前に上皮内ガンと診断されたものの中には、
実際には1期の病変が紛れ込んでいたはずです。
病理医も人間ですから顕微鏡で見てもわずかなものは見落としたり見えなかったりし、
判断ミスをしてしまうのはよくあることです。
つまりそのアメリカの報告で0期が1期に進行した4人とされるのは、
実際には最初から1期だった可能性があります。
こういうことを書くのも、
上皮内ガンは放っておけば消えてしまうのが原則だからです。
スウェーデンの研究では、
上皮内ガン100人のうち、99人のガンは消えてしまうと推定されています。
上皮内ガンとは何なのか結論を先に言いますと、
子宮頸部の上皮内ガンのほとんどは、
ヒトパピローマウイルスなどのウイルス感染や精液等との反応を原因とした、
上皮細胞の「慢性変化」または「慢性炎症」と考えられます。
顕微鏡で調べる病理診断では、
上皮細胞の慢性変化が一見ガンのように見えるわけです。
無責任な話に聞こえるかもしれませんが、
病理医でもなかなか見分けがつかず経験によるものが多いのも事実です。
別の角度から見ると、
上皮内ガンの発症頻度が高いのは、
性的活動が活発な30代、40代の女性です。
60代、70代になると、
上皮内ガンの発症頻度は大きく低下します。
そこでもし婦人科医達が言うように、
上皮内ガンから浸潤ガンに進行するのであれば、
現実のデータとして60代、70代では上皮内ガンの発生頻度が著しく低下しているので、
浸潤ガン発症頻度も低下するはずです。
しかし、
浸潤ガンの発症頻度や死亡頻度は高齢になるほど増えるのです。
これは上皮内ガンが浸潤ガンの “ 前身 ” ではないこと、
ガンとは無関係な慢性変化であることを物語っています。
0期の上皮内ガンの治療に手術を第一選択にするのも日本だけです。
欧米ではまず予後観察をするのが一般的です(上皮内ガンと呼ぶのも日本だけで炎症扱いです)。
1期~でも放射線治療と手術の予後は変わりません。
ならば1期~でも切除せず後遺症も少ない放射線治療を選択する方がいいのですが、
日本では海外のそういった治験結果を大学の講義で医学生に教えるようなこともないので、
患者さんに施すこともありません。
このことはよく覚えておいて、
周りの家族、親戚、友人が子宮頸ガンになり、
婦人科医から手術と言われたら、
放射線治療医を訪ねてセカンドオピニオンを受けるよう勧めてあげて下さい。
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