ガンの痛みについて

ブラックジャックの孫

2016年03月30日 12:44



間 黒助です。




ガンの痛みは、

急性痛と慢性痛に分かれます。


急性痛の場合は、

痛み自体が警告反応であり、

また痛みが経過を示すパラメータの1つ(診断価値)になるため、

診断が確定するまでは、

できるかぎり除痛を行わないことが望ましいと言われていました。

しかし近年においては、

診断の発達とともに、

診断や治療の妨げとなる疼痛を除去することで、

最大限の効果を期待する考えが浸透していています。


慢性痛の場合は、

診断的価値もなく、

慢性痛自体が患者さんの様々な障害となり得ます。

そのため疼痛の制御が重要となります。


ガンの痛みというのは、

根本的にガンの進行に伴う身体的痛みのことをいいます。


ガンの痛みの原因を下記します。




『 内臓器官へのがん浸潤による痛み 』

一般に、

消化管や泌尿器・生殖器に原発した初期ガンは、

痛みを伴わないことが多いが、

進行すると痛みが生じるようになります。

・ガンが後腹膜腔に拡がると痛みが出る。

・胃、腸、胆道、尿管、子宮、膀胱などの管腔臓器にガン組織が浸潤して、

内容物の通過を妨げると痛みが現れる。




『 消化器のガンの痛み 食道ガン/胃ガン/大腸ガン/肝ガン/膵ガン 』

<食道ガンの痛み>

・ガンの初期、食べ物を飲み込んだ時に胸の奥がチクチクしたり、

熱いものを飲み込んだ時、

しみるような痛みが出ます(ガンが大きくなると感じなくなる時があります)。

・ガンが増大すると食道の内側が狭くなり食べ物がつかえます。

この時に痛みが出ます。

・ガンが拡大し食道の壁を貫くと、

肺や背骨、大動脈を圧迫し、胸の奥や背中に痛が出ます。

・ガンが進行し、気管、気管支、肺へ及ぶと、咳、血痰と共に痛みが出ます。


<胃ガンの痛み>

・胃ガンが進行し管腔が狭窄すると、

通過障害を引き起こし、

痛みを生じます(幽門部に発生したガンは狭窄をきたしやすい)。

・痛みの中で最も多いのが、みぞおちを中心とした心窩部の痛みです。


<大腸ガンの痛み>

・大腸ガンは進行する際、

まず内腔に向かって増殖するので、

痛みはなかなか出ないとされています(集団検診で、

大腸ガンが発見された患者の3大自覚症状は、

1.便秘がち、

2.便が細くなった、

3.痔。腹痛は少ない)。

・直腸ガンが潰瘍化し二次感染を起こすと炎症の痛みが出ます。

・ガンが増大し通過障害が起こるとイレウスとなり腹痛が出ます。

・ガンが大腸の外壁に拡がり骨盤腔内に入り込むと痛みが出ます。


<肝ガンの痛み>

・肝臓に原発したガンや肝臓に転移したガンによって、

右季肋部、心窩部に痛みが出ます。

・肝臓にガンが発生して増殖すると、

肝臓の被膜が伸のび、被膜にある痛覚受容器を刺激して、

鈍い疼く痛みが出ます(肝臓全体:腹部上部に痛み、圧迫感、不快感等を感じます)。

・肝ガンが肝表面に拡がると、腹腔内に出血して痛み出ます。

・ガン増大による門脈の塞栓症や排便等の腹圧上昇により、

肝ガンが破裂すると、痛みが出ます。


<膵臓ガンの痛み>

・膵臓原発のガンでは、

膵管が徐々に閉塞され急激に膵管の内圧上昇が起こらないため、

強い腹痛は起こらないとされています。

・ガン増大により膵液の通路となる膵管の内圧が上昇すると痛みが出ます。

・膵臓内および膵臓周囲への炎症の影響で痛みが出ます。

・ガンが増殖し後腹膜に拡がると強い上腹部痛あるいは背部痛が現れます。

・転移したガンにより膵液の排泄が滞ることで、

膵液に含まれる解酵素が活性化されて膵臓の分解が促進されます。

この影響で血液成分が血管外に出てることで膵臓が腫れ、

心窩部から背部にかけて痛みが出ます。




『 泌尿器のガンの痛み 腎ガン/膀胱ガン 』

<腎ガンの痛み>

・腎臓に発生したガンが急速に増殖すると、

腎臓の被膜が伸び、腰背部、

特に肋骨錐体三角部(肋骨と脊柱に囲まれた三角形の部分)に痛みが出ます。

・腎臓ガン、腎盂・尿管のガンから大量に出血すると、

血液が固まって凝血塊となりが尿管を閉塞します。

閉塞が急に起こると尿管結石症のような疝痛発作を生じます。


<膀胱ガンの痛み>

・膀胱にガンが広がると下腹部に限局した鈍痛が出ます。

・膀胱がから大量に出血すると膀胱内で血液が固まり痛みが出ます。




『 その他 』

<ガン組織による血管閉塞>

・血管壁にガン組織が及ぶと、

びまん性の灼けつく痛みや疼く痛みが出ます。

・血管を部分的に閉塞あるいは完全に閉塞すると、

うっ血、虚血が現れ、浮腫を招き、結果として痛みが出ます。

頭蓋腔を出る静脈が閉塞すると頭痛が出ます。


<骨転移の痛み>

・ガンが増大し骨膜に分布する痛覚受容器を刺激することで痛みが出ます。

・進行ガンにおいて以下の場合などで胸痛が出ます。


<ガン組織の末梢神経浸潤による痛み>

・ガンによる末梢神経や脊髄神経の圧迫、

ガンの軟部組織への広がりによって痛みが出ます。

・手術や化学療法・放射線療法などのガン治療の結果、

神経損傷による痛みが出ます。


<脳内転移>

・脳実質そのものは痛みを感じませんが、

ガンが脳に転移したときなど、

痛覚受容器が分布する大血管髄膜で痛みが出ます。




痛みの種類ですが、

ガンの患者さんの持つ痛みには、

身体的な疼痛のみならず、

社会的、精神的、経済的、霊的な痛み等があり、

これらを統合して全人的痛み(total pain)として捉える必要があります。

痛みの評価としては、

痛みの質、痛みの量、困りの度合いの評価が重要です。


『 痛みの評価 』

<1.疼痛の性質と強さ>

(1)痛みの部位。

(2)痛みの始まりと経時的変化(いつから、頻度、間欠的・持続的、

時間経過による痛みの変化)。

(3)痛みの性質と強さ。

(4)痛みに影響する因子(増強因子・緩和因子、痛みと関連する他の症状)。

(5)今までの治療(これまでの治療法とその効果)。

(6)生活への影響(身体機能・社会機能・日常生活・精神状態への影響)。


<2.痛みの原因を診断するために必要な身体所見、画像検査>

(1)神経学的所見。

(2)画像検査所見(CT、MRI、骨シンチグラフィなど)。

(3)精神学的所見。




ガン性痛は、

ガンの患者さんにみられる体重減少、食欲不振、

呼吸困難などの症状などと密接な関連を持つことが多く、

逆に睡眠や休息、

人とのコミニケーションなどは痛みを減少させるとされています。

疼痛コントロールは、

ガンの治療および身体的疼痛を取り除くことが第1優先でありますが、

それが難しい患者さんでも、

理解し、指示する態度を示すことで、

痛みを和らげることができる可能性があります。











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