てぃーだブログ › ブラックジャックの孫 間 黒助 の ガン治療研究ブログ › 間違いだらけの食生活 › 高インスリン血症だけでも発ガンが促進される

2013年11月23日

高インスリン血症だけでも発ガンが促進される



間 黒助です。




インスリンの役割り

発がんリスクを高める糖尿病と肥満

高血糖や肥満がガン細胞の増殖を促進する理由

の続きですが、

2型糖尿病を発症する患者さんは、

発症前の数年間、

『 高インスリン血症 』 が見られると言われています。

これは文字通り、

インスリンが過剰に分泌されているという状態です。


インスリンの働きに影響する様々な生理活性物質は、

脂肪細胞から分泌されていますが、

例えば、

インスリンの働きを高める作用を持つアディポネクチンというたんぱく質は、

肥満によって内臓脂肪が増えると分泌量が減ります。


このように、

アディポネクチンの血中濃度が低下すると、

インスリン抵抗性(インスリンの作用低下)が高まりますが、

体はそれを補うためにインスリンの分泌量を増やして、

血中のインスリン濃度を高めて代償しようとします。


これが高インスリン血症という状態ですが、

この段階では、

インスリンの分泌増加により、

血糖値はまだあまり高くないため糖尿病とは診断されません。


しかしその後、

インスリンを分泌するランゲルハンス島から十分なインスリンが分泌されないようになると、

高血糖状態が持続して糖尿病と診断されるのです。




ところで、

アメリカのある疫学研究によれば、

糖尿病と診断された人よりも、

糖尿病の前段階の人の方が発がんリスクが高いという報告があります。


これはつまり、

高インスリン血症の存在が、

発がんリスクを高める大きな原因の1つと見なされているということであり、

もっと具体的に言えば、

肥満や運動不足による糖尿病予備軍の人々は、

インスリン抵抗性による高血糖を抑えるために、

インスリンが過剰に分泌されるので、

発ガンを促進しやすくなると考えられているのです。


なぜなら実は、

インスリン自体にガン細胞の増殖と代謝を促進する作用があるからです。


実際、

大腸ガンの患者さんは健常な人と比べて、

血糖値や血中のインスリン濃度が高いという報告があります。


また、

乳ガンについては、

インスリン受容体が過剰に発現しているという報告があり、

高インスリン血症が肝臓における性ホルモン結合グロブリンの産生を抑制するため、

フリーのエストロゲンが血中に増えて、

乳ガン細胞の増殖を促進することも指摘されています。


さらに、

ある種のガン細胞ではインスリン感受性が亢進している、

つまり、

インスリンがガン細胞の増殖やエネルギー代謝を、

亢進しやすくしていることが報告されています。


以上のようなことは、

高インスリン血症が、

肥満や高血糖とは独立した発がんリスクであるということを示しています。


すなわち、

肥満や高血糖でなくとも、

血中のインスリン濃度が高いだけで、

発ガンが促進されるということです。


培養したガン細胞を使った実験で、

培養液のブドウ糖濃度を高めると、

ガン細胞の増殖や転移や浸潤が促進されます。

そして、

高濃度のブドウ糖がある状態でインスリンを添加すると、

増殖シグナル伝達系の刺激によって増殖や浸潤能はさらに促進されます。


これは生体でも同様で、

食事のたびに血糖やインスリンが上昇すると、

その都度、ガン細胞の増殖が刺激されることになるのです。


また、

インスリンはガン細胞の増殖を促進する、

『 インスリン様成長因子‐1(IGF-1) 』

の活性を高めます。


具体的に言うと、

高インスリン血症が、

IGF-1 の活性を制御している IGF-1結合たんぱくの肝臓での産生量を減少させるため、

その結果、

IGF-1 の活性が高まるのです。


そして、

大腸ガン、前立腺ガン、乳ガンでは、

インスリンの濃度が高く IGF-1結合たんぱくが少なければ、

予後が悪いという結果が報告されています。


このように、

ガン細胞の増殖や血管新生や転移を促進する作用を持つ IGF-1 は、

インスリンと構造が似ており、

さらに、

IGF-1受容体とインスリン受容体も類似しています。

また、

IGF-1 とインスリンが交差反応することが知られています。


このため、

高インスリン血症下においては、

インスリンが IGF-1受容体にも結合し、

IGF-1 と同じようにガン細胞の増殖を促進してしまうのです。




高インスリン血症だけでも発ガンが促進される






※ガンについてや、

ガン治療に対して少しでも疑問に思ってること、

ご質問やご相談のある方は、

コメントにお書きになるか、

または下記のメールアドレスにメール下さい。

真摯なご質問・ご相談には必ず返信致します。



【間 黒助へのご質問・ご相談はこちらまで】

kurosukehazama@yahoo.co.jp



コメントは“承認後に受け付ける”の設定になってますので、

コメントに書いた内容がいきなり公開されることはありません。

公開を控えて欲しい場合はそう書いてもらって結構です。

公開を控えて欲しいというコメントへの返答は、

質問内容を控えてブログの『コメントへの返答』カテゴリーで随時アップします。


少しでも心配事があるなら遠慮せずにコメント下さい。

そんな少しのことで今後が、未来が変わるかもしれません。


僕がご相談やご質問に対してどう返答しても決めるのは自分です。

そのためには少しでも情報を集め、

後悔しない選択をして下さい。


少しでもお役に立てればと思っております。




間 黒助





同じカテゴリー(間違いだらけの食生活)の記事
食事について
食事について(2016-03-23 13:25)


Posted by ブラックジャックの孫 at 13:48 │間違いだらけの食生活
この記事へのコメント
はじめまして

乳がん手術終え、抗がん剤を終え、ホルモン治療中の者です。

単純すぎる質問、笑われるかもしれませんが
再発を予防する為にも甘いものは控えるべきだという結論に繋がるのでしょうか?

私は甘いものが大好きで、ついチョコレート、アイスを常食してしまいます。
それでも太らないので調子に乗って…それが癌の引き金の一因でもあるのでしょうか?
Posted by ノラ at 2013年11月23日 16:26
ノラ 様



ガンの栄養源はブドウ糖です。

炭水化物(糖質)が消化されてブドウ糖に変化する早さを示す数値に、

『グリセミック指数』があります。

グリセミック指数の高い炭水化物は食後に血糖が上がりやすく、

インスリンの分泌も増えるので、

ガンや動脈硬化を促進する作用があります。

中でもとりわけグリセミック指数が高いのが砂糖です。

以上の理由から、

甘いものはなるべく控えるべきだと思います。
Posted by ブラックジャックの孫ブラックジャックの孫 at 2013年11月23日 17:16
ブラックジャックさま

早々に簡潔なお答えありがとうございました
甘いものに依存しているとも思える私の食生活。
ごはん、パン等の炭水化物が大好物…嗜好を改善しなくてはいけませんね…
こんな嗜好の母を持つ子どもたちも
危険…
少しづつでも改善を心がけます。

ありがとうございました。
なかなか素人では得る事の出来ない情報発信を心強く思っております。

これからも、どうぞ発信し続けて下さい。
Posted by ノラ at 2013年11月23日 17:50